【計画】
　冬の低山歩きの参考にと買った’静かなる尾根歩き／松浦隆康’という本がなかなか面白い。
奥多摩、丹沢といったなじみのある山域のマイナールートがふんだんに紹介されている。
今年の初登りはこの本で紹介されているルートを参考に計画することにし、ぺらぺらとページをめくった。
結果、甲斐大和駅から徳並山に登り、古部山、境沢の頭、甲州高尾山を経て勝沼ぶどう卿駅に至る馬蹄形コースを歩いてみることにした。

【山行記】
　電車が甲斐大和駅に着いたのは６時過ぎ。 まだ薄暗い中、古部集落に入っていく。松浦本に載っている三島神社を目指して車道を進むも、よくわからず。

　神社を探すのをあきらめ、山の方向に延びている車道を辿っていくと果樹園に入る。 冬枯れの果樹園の中を進むと、左手に獣よけの柵が見えてきた。
柵の所々に出入り口が設けられているので、適当な所から柵外に出る。
さらに斜面を登っていくと尾根に合流。




　尾根には道標の類いは無いが、踏み跡はあるし、所々に赤テープもつけられている。
尾根を辿ってゆるゆると登っていく。

　大木が尾根をとおせんぼしている箇所を過ぎると、大きな岩が現れるようになる。
岩を迂回し、すり抜けて登っていくと徳並山山頂に飛び出した。

　狭い山頂で、木立に囲まれて展望効かず。
木立の間から南側に富士山、南西側に南アルプスが見える。

　新しい山頂標識は何故か徳波山になっている。
古い標識は徳並沢の頭。
ただ、徳波沢というのがあるのでどちらが正しいのか？

　山頂からは北西と北東方向に踏み跡あり。
前者は勝沼方面に下る尾根だろう。
後者の踏み跡を進む。

　一旦下って登り返すと南北に長い平坦地に出る。
よく見ると木に巻き付けられたテープに西大志とある。


　西大志から急坂を下り、登り返すと狭い山頂。
こちらのテープには東大志。

　東大志から少々下った後、急坂をこなすと雰囲気の良い尾根道になる。
ゆるゆる登っていくと1292m峰。




　1292mから踏み跡は東に。
すぐに古部山の山頂標識があるピーク。
地面には徳並山と木賊山方向を示す道標。

　古部山から北に進路を変えて緩やかに登っていく。
このあたりも気持ちのよい尾根道。





　次第に尾根が広くなってくる。
1400mを越えた所で西に方向転換。
曲がり角には三角コンバと古部山を示す標識あるも、朽ちかけている。



　間もなく三角点がある1413m峰。
ここにも道標あるも、壊れてしまっている。

　一休みして北の尾根に入る。
北側斜面には雪が残っているが、量は少ない。




　緩やかに登り詰めると三角コンバ。
境沢の頭、古部山、境沢橋を示す道標あり。
三角コンバを示す道標は倒れてしまっているので、立てかけておいた。

　三角コンバからは北西の尾根を進む。
緩く下って登り返すと境沢の頭。
倒れかかっている山頂標識あり。

　ここも木立に囲まれて展望効かず。
方向指示標識は壊れてバラバラ。
踏み跡は北と北西方向にあり。
地形図から判断すると後者。が、北方向の踏み跡は明瞭、かつ真新しいテープも着いているので北に進んでみることに。

　北斜面を下り、登り返す。
次第に北西に進むようになるが、木立の間から見える宮宕山らしきピークからは離れてしまう。
やはり違った。
引き返そうかとも思ったが、時間もあるし、地形図ではもう少しで1490mのピークに辿り着けそうなのでそのまま登っていく。


　辿り着いた狭い山頂には山頂標識無し。
ただ、三角コンバとかくれっ窪を示す道標あり。
地形図によれば、かくれっ窪方向に進めば嵯峨塩林道に出られるはず。
だが、林道歩きはなるべく避けたいので、計画どおり境沢の頭に戻って林道に下ることにする。

　境沢の頭へ戻り、北西方向の尾根を下る。
途中で踏み跡を見失うが、下方に林道が見えているので適当に下っていく。

　境沢の頭から十数分で林道に下り立つ。
北側の日陰になっている所にはまだ雪が残っている。
少々北よりに下りてしまったようだ。

　林道を進む。
富士山がきれいだが、逆光なので眩しい。

　林道歩き１５分程で道が左右に分かれ、右手は黄色いゲートでとおせんぼ。
このあたりが深沢峠なのだろう。

　松浦本によると、このあたりから尾根に取り付けるはずだが。。。
。。。と探すも見つからず。

　まあいいか、と思いながら林道をすたすた歩いていたら再び分岐。
左手に進むと山から離れてしまうので、右手の道を登っていく。



　数分で右手斜面に立派な階段が現れる。
地形図を確認し、階段に通じる尾根を登っていけば登山道に出られるはず、と考える。

　階段終点からしばらくは明瞭な踏み跡が続き、その後は林間を適当に登っていくようになる。

　樹林帯が終わるとすすきと枯木のヤブ。

　すすきをかき分け、枯木の間を縫うようにして尾根を登っていく。
１０分程で登山道に飛び出した。

　登山道を北に進み、ピークを一つ越えて登り詰めると宮宕山山頂。
遠回りしたが、なんとか到着。

　ここも木立に囲まれて展望無し。


　昼食休憩後、下山開始。
ここからは明瞭な登山道である。

　途中のピークからは富士山の展望良好。
棚横手山から甲州高尾山にかけて所々に山火事跡が現れる。
掲示板によると、過去複数回にわたり山火事が起きているとのこと。
タバコの火の不始末だろうか。

　林道を一つ横断し、下っていくと甲州高尾山。
このあたりになると登山者とすれ違うようになる。

　尾根を下りきると大善寺。
甲州街道に出る。
南アルプスや奥秩父の山々を眺めながら林道を辿り、３８号に出ると間もなく勝沼ぶどう卿駅。

　甲斐大和から棚横手山までは誰にも会わず。
本当に静かな尾根歩きを堪能。
冬場はマイナールートを辿る回数が増えそうである。